The Wizard of Science

人類学のこと、歴史・考古学のこと、航空機のこと、特許のこと、海外の言語や書籍、などなど、たまには横道にそれたりする長文が多めなブログです。

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韓国で見つかった旧石器

資料:Journal of Human Evolution 51 (2006) 527-536

私達の先祖がアフリカで生まれたのは200-140,000年前であると推定されている。
この数字は現代の各地のDNAを基にしているため、非常に信頼度が高く、
これが人類史に大きな貢献をしたことはEve説(聖書のイブ)として広く知られている。

これのおかげで、今まで北京原人やジャワ原人といった
"原人"と呼ばれる全ての人間は現代の人間とは直接関係のない
絶滅してしまった人類だということが遺伝子の分野からも確定したわけだ。

これと同時に偏狭なナショナリズムによる、
旧石器時代の年代を故意に古くしようとする動きも一応の収束を見たといっていいだろう。
なぜなら、20万年以上古くしても、それは現代人と直接関係がなく、
また、遺伝子のパターンから、それぞれの地域で何万年前ぐらいに
現代人の祖先が到達できたのか判別できてしまうせいだ。

そんなわけで、特にかつては旧石器を研究する学者の暴走が目立ったアジア圏でも
この遺伝子研究が決定的となってからは随分と落ち着いて、
最近ではなかなか有意義な研究も発表されるようになっている。

それは起源主張のめちゃくちゃさで有名な韓国も例外ではない。
今回の論文は去年のものになるが、なかなか面白いので紹介しておく。

korean site

韓国の石器の発掘現場。奇妙に盛り上がっているのは石器の場所をわかりやすくするための
考古学的な発掘方法であって、もとからこういう形であるわけではない。

korean clever

韓国で見つかった石器群。
これらはCleaver(肉切り包丁)と呼ばれる。

korean stone tool

そして、これが話題の石器。
発見当初はAcheulianではないかという見解もあったのだが、
今回の論文でAcheulianとは断定できないと結論付けられた。

論文は韓国とアメリカ、中国などの各国による共同研究によって書かれているわけだが、
思った以上に綿密かつ、発掘の状態や写真などが詳しく記載されているので
非常に好感の持てる論文であった。
(ただ、自分の先生はその後の結論に至る比較検討に
まだ微妙なところがあるのではと授業で話してはいたが)

この韓国の石器も大体40万年前後と考えられており(異論はあるが)、
意図的に50万年前以上にしようとしたり、
30万年ぐらいではないかと日本などから提案されたときに
「捏造するな!」と叫んだ頃に比べればかなりマシになっている。

ようするに現代社会とはかけ離れたところにある研究ならば
アジアでも世界的にそれなりの評価を得る研究ができるのではないかと
私は少しだがこれからの進展に期待しているのである。


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テーマ:歴史 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2007/12/10(月) 17:31:18|
  2. ちょっと硬めな勉強のお話
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