The Wizard of Science

人類学のこと、歴史・考古学のこと、航空機のこと、特許のこと、海外の言語や書籍、などなど、たまには横道にそれたりする長文が多めなブログです。

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ネアンデルタール人は料理をしていた

 遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
 諸処の事情があり、相変わらず年末の更新は非常に遅れますが、今年もよろしくお願いいたします。

 さて、去年の終わりは家の掃除と同時に過去のブログ記事を整理していたのですが、とある記事が妙にヒットが多く、なにげに拍手も一つだけ10を超えているものがありました。
 それは「ネアンデルタール人と現代人の食事の違い」という記事でもう3年も前になろうかというのに未だにアクセスがあるのは、どうやら「ネアンデルタール人、食事」等とグーグルで検索すると、ニュースサイトを除いてどうやらうちがトップに来てしまうせいのようです。後は他の記事に比べて絵が多めで見栄えがいいせいかもしれません。
 数ある古人類学系のサイトを差し置いて適当なブログが上がってしまうのはなんとも恐縮な上、今見てみると、タイトルも"現代人"となっていて、これではまるで今生きている人間のようなのですが、正確には"Archaic Modern Human"(もしくはAnatomically Modern Human)のことで、通常イメージする「現代人」とは違うこともあるため微妙に誤解を生みそうなところがなんとかしなければならないかもしれないと思ったわけですが、とりあえずこのままにしておきます。

 さて、そのネアンデルタール人の食事についてなのですが、検索した人は気がついた人がいるかもしれませんが、実は新しい発見がありました。


 以下は記事の転載です。参照URLはタイトルにリンクしてあります。

 ネアンデルタール人は野菜を料理して食べていた=米の新研究
【ワシントンAFP=時事】米ワシントンのスミソニアン自然史博物館の人類学部がこのほど発表した研究論文によると、現生人類ホモ・サピエンスの近縁であるネアンデルタール人は、肉類とともに穀物や野菜を、ホモ・サピエンスと同様に火であぶって食べていた。ネアンデルタール人は肉類の偏食が一因となって絶滅したとの見方が広がっていたが、これを否定する学説だ。


 というわけで、過去に私が書いたネアンデルタール人の肉食への偏食に関して、これを否定する根拠が見つかったと言うことであります。
 少なくとも私がまともに勉強していた頃にはネアンデルタール人の骨格的特長や社会性にこの肉類の偏食を結びつける説が大半だったので、これは非常に大きな発見です。

 さて、今回に関してはちゃんと論文を確認しました。
 元の論文は以下のタイトルでPNASより参照できます。

 Henry, et al., Microfossils in calculus demonstrate consumption of plants and cooked foods in Neanderthal diets (Shanidar III, Iraq; Spy I and II, Belgium) 
 
 全文は諸事情により掲載できないのですが、もう少し詳しく調べて改めて時期を見て紹介するかもしれません。
 前回書いた記事の時点で有力だったStable isotope analysisとの関連性が気になったのですが論文によれば、
>
 Neanderthals' consumption of these starchy plant foods does not contradict data from isotope analysis, because nitrogen isotopes record only the consumption of meat and protein-rich plant foods.
>
 とのことなので、過去の結果を否定するものではないとの事。

 そもそも、多少悪あがきのようでもありますが、ネアンデルタール人が柔軟に様々なタイプの食料を取る事ができていたのは、前回の記事でも引用したStinerやPerez- Perezの論文でも指摘されていることでした。
 ですので、今回の発見は事実の完全な否定と言うよりは補足になると思われます。

 ただし、前回と違って、ネアンデルタール人の食料摂取能力、特に植物への適用能力、が思った以上に高かったということです。
 ですから、ネアンデルタール人が肉類に偏食していたのは周囲の環境がそういう状況(大型哺乳類が多彩で植物を主食とするよりも栄養が多く得られた)だったからで、彼らはやろうと思えばいつでも食べられる植物を調理して生き延びることができたということになります。

 そうすると、当時既に現れていた我々と解剖学的に変わらない人類とネアンデルタール人には食料の摂取能力に大きな違いはなく、肉類中心の偏食はネアンデルタール人の絶滅の原因ではなかったということになります。

 特に欧州のネアンデルタール人が過去に大量の大型哺乳動物を狩り、肉が中心の食事をしていたことは確かです。ただし、それは彼らがそれしかできなかったことを示しているわけではなく、彼らがその環境において生き延びる最適な選択をした結果そうなったということになります。

 だったら、なおさら、なぜ彼らは絶滅したのかという疑問が沸いてきます。
 新しい事実が判明すれば、疑問も払拭したいところなのですが、むしろ謎は深まったと言えるでしょう。


 この話はもう少し論文を調べ、またもし新しい事実が発見されたら随時更新しようと思います。
 


 〆


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  1. 2011/01/04(火) 06:51:04|
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