The Wizard of Science

人類学のこと、歴史・考古学のこと、航空機のこと、特許のこと、海外の言語や書籍、などなど、たまには横道にそれたりする長文が多めなブログです。

遥かなるナメクジウオ属

昔、イギリスに住んでいた時に何かと聞く機会の多かった歌の一つに”遥かなティペラリー”というものがありました。
戦時中の軍歌として有名で、映画「Uボート」でも船員が合唱するシーンがありますが、元は全然関係ない望郷ソングで、歌詞はイギリス(正確にはアイルランドですが)らしい皮肉と言い訳が交じり合い、サビも一度聞くと忘れられない中毒性のある一曲です。
なんでも、1晩で1曲作れるかという賭けをして出来上がったらしく、そういうエピソードもなんとも実にかの国らしく。

ご興味を持った方は是非聞いていただき、歌詞も読んでいただきたいと思う次第。
ちなみに、この歌詞の一部をやたら強調して"Everyone was GAY!"と言うのは一部ではある意味お約束。

さて、この曲ですが、サビのメロディーが特徴的であることもあって、色んな替え歌が流行りました。
その中には出来の良いのもあって、特にシカゴ大学の進化論者達による「遥かなるナメクジウオ属」というのは個人的にも特に秀逸でして、ナメクジウオが持つ脊索が我々脊椎動物へと進化する内容を皮肉を込めて歌い上げるという科学的知見を盛り込んだ最高のパロディソングとなっていたりします。
Wikipediaでも紹介されているのですが、ざっと探しても全体の歌詞の訳が無かったのでざっくりではありますが、以下に訳してみました。
様々な専門用語をジョークに混ぜてを歌い上げる面白さをちょっとでも感じていただければと思います。

*サビ繰り返し部分
It's a long way from Amphioxus, It's a long way to us.
遥かなるナメクジウオ。私達に続く遠い道のり。

It's a long way from Amphioxus to the meanest human cuss.
遥かなるナメクジウオ。どうしようもない人間共に続く道のり。

Well, it's goodbye to fins and gill slits, and it's welcome lungs and hair!
さようなら、ヒレとエラ。いらっしゃい、肺と毛。

It's a long, long way from Amphioxus, but we all came from there.
果てしなく遥かなナメクジウオ。だけど、僕らはみんなそこから来たんだ。

1.
A fish-like thing appeared among the annelids one day.
ある日、魚みたいな奴が環形動物界に現れたんだ。

It hadn't any parapods nor setae to display.
それは、ちゃんとした疣足も剛毛も持ってないし、

It hadn't any eyes nor jaws, nor ventral nervous cord,
目も顎も、腹神経索すら持っていない。

But it had a lot of gill slits and it had a notochord.
だけど、たくさんのエラ穴と脊索を持っていたんだ。

*繰り返し

2.
It wasn't much to look at and it scarce knew how to swim,
それは見るに値しない上に泳ぐ方法すら良く知らない、

And Nereis was very sure it hadn't come from him.
それから、ゴカイは知ってるよ。彼らは自分達の子孫じゃないって事を。

The mollusks wouldn't own it and the arthropods got sore,
軟体動物は持たないだろうし、節足動物は怒っているよ。

So the poor thing had to burrow in the sand along the shore.
だから、この可愛そうな奴は海岸の砂の中に潜らなきゃいけなかった。

He burrowed in the sand before a crab could nip his tail,
彼は蟹が彼の尻尾を掴む前に砂の中に潜らなきゃいけなかった。

And he said "Gill slits and myotomes are all to no avail.
それから彼は”エラ穴と節筋なんてまったく役に立たないだろう”なんていうんだ。

I've grown some metapleural folds and sport an oral hood,
僕は副エラを発達させ、口吻を作ってみたんだ。

But all these fine new characters don't do me any good.
だけど、この素敵な特徴は僕にとって全然よいものじゃないよ。

*繰り返し

3.
He sulked awhile down in the sand without a bit of pep,
彼は元気をなくして、砂の中ですねていたんだ。

Then he stiffened up his notochord and said, "I'll beat 'em yet!
それから彼は脊索を固くして言ったんだ、”あいつらをやっつけてやる!”

Let 'em laugh and show their ignorance. I don't mind their jeers.
彼らの無知を見て笑ってくれよ。僕はからかわれても気にしないね。

Just wait until they see me in a hundred million years.
1億年経った僕を見るまで待っていてくれよ。

My notochord shall turn into a chain of vertebrae
僕の脊索は背骨の列に変わったんだ。

And as fins my metapleural folds will agitate the sea.
そして、ヒレとしてつかう、僕の副エラは海の水をかき回すようになる。

My tiny dorsal nervous cord will be a mighty brain
僕の小さな背神経系は大きな脳になるんだ。

And the vertebrates shall dominate the animal domain.
そして、脊椎動物は動物界を支配しちゃったんだ。

*繰り返し

ちなみに、歌詞はこちらから、
http://bscd.uchicago.edu/content/its-long-way-amphioxus
音源は以下から聞くことが出来ます。
http://www.samhinton.org/audio_video.html

ただ、ネタにマジレスなんて激しくどうでもいいでしょうが、あえて言うと、ナメクジウオの先祖の一部が分化して脊椎動物に進化しただけで、1億年経ってもナメクジウオ自身は結局ずっとナメクジウオだと思います。



*歌詞の一部は音源と少し異なるようです。Seeをevolveと言っていたり、shallがwillになっていたりします。







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テーマ:進化学 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2013/06/08(土) 00:52:19|
  2. 偏りに偏った趣味のお話
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