The Wizard of Science

人類学のこと、歴史・考古学のこと、航空機のこと、特許のこと、海外の言語や書籍、などなど、たまには横道にそれたりする長文が多めなブログです。

オットー・カリウス、色々なエピソード

紆余曲折ありましたが、WW2英雄列伝"泥の中の虎"オットー・カリウス、無事発売することができました。
cover1.jpg

公式ホームページはこちらになります。↓


興味をもった人はまずは体験版だけでも良いのでプレイしてもらえると幸いです。
私としてはこれまでほとんど一人でやってきたのと違い多くの協力者が多くいるとはいえ、約3年ぶりの新作で初のシェアウェア作品となります。

可能な限りカリウスの著書にあるエピソードを再現しようとしていますが、どうしてもゲームバランス的な理由でカットしたものも多くあります。
ここではそんなゲーム中では描ききれなかった部分をいくつか紹介していきたいと思います。

1、150両撃破は嘘?
カリウスの戦車撃破数は公式記録や戦後の研究者によって150両を越えていると推測されています。
しかし、実は当のカリウス本人はこれを否定しており、100~110両ぐらいしか撃破したと確実にいえないという実に控えめなコメントを残しています。

参考サイト
http://heroesdeguerra.blogspot.fr/2012/05/avande-de-entrevista.html

150両に関しては"ドイツ宣伝省のプロパガンダ"とばっさり。
実際、カリウス本人の著作である「ティーガー戦車隊」でカリウス本人が書いている数と502重戦車大隊記録集に書いてある数字が同じ戦いであるにも関わらずかなり食い違っていたりします。
当然、重戦車大隊記録集のほうの数字は大きく、これについては"戦意高揚のための水増し"とのこと。
また、カリウスは彼本人だけではなく、ヴィットマンの138両、クニスペルの168両に関しても"プロパガンダ"と断じています。
ただ、水増しがあったとしても100両近い戦車を撃破しているのは相当なものなので、エースであることには変わりなく、彼らが優秀な兵士であったことを否定するものではありません。

2、駄目上官フォン・シラー
カリウスがナルヴァで小隊長を務めていた際、直接の上司に当たるのが中隊長のフォン・シラーという人でした。
この人は他人の礼儀や服装には厳しく言う割には自分の行動には甘く、支給されたキューベルワーゲン(当時のドイツ軍の使っていた自動車)を愛人のところに行くのに使っていたという(カリウス視点では)かなり酷い上官だったようです。
カリウスはこの上司がとにかく気に入らず、"上司としてああなってはいけない見本"として著書でもボロクソに書き、インタビューでも暗に批判しています。
ついでに、この話に看過された宮崎駿も自身の漫画でボロクソに描いています。
ただし、当時戦場においては一応対面上は上手く付き合い、不満を漏らす仲間達を説得する立場であったようです。
戦後になって、当時の不満が噴出し、仲間から更に彼の駄目な部分を聞かされて色々書いたり話したりしているのだと思われます。
この辺りのモヤモヤした複雑な人間関係のエピソードは非常に入れ難かったので仲間がフォン・シラーを噂するところ、シラー隊長に代わってカリウスが中隊長に抜擢されるところぐらいしか描きませんでした。

3、ベルリンで危機一髪
柏葉付騎士十字章を受け取り、ヒムラーから「帰国してどうだった?」と聞かれたカリウスは連日の爆撃で国民の気力がなくなっている、と答えます。
実はカリウス自身も街を自動車で移動している間に航空機による攻撃を受け、とっさに機転を利かせて橋の陰に隠れなければ死んでいたということがありました。
とにかく、圧倒的航空優勢の中ではいかに優秀な戦車を持っていてもろくに動くことができず、戦後もカリウスは連合軍の航空機の優秀さとその威力の絶大さについて語っています。
ヒムラー関連のイベントがかなり長大であるため、その後首都ベルリン内をドライブしたりといったエピソードは残念ながら省くことにしました。

4、ネーベルヴェルファーの誤射
カリウスは数多くの味方の誤射にあっています。
ナルヴァでは榴弾砲を背後から受け、鹵獲T34は敵と誤認した味方に破壊され、最後に乗ったヤークトティーガーの一両も主に一般市民や退役軍人で構成された国民突撃隊の兵士によって破壊されてしまっています。
その中でも特に被害が大きかったのはネーベルヴェルファーロケット発射機による誤射でした。
この時は誤射によってカリウスの戦車を護衛していた歩兵が全滅するという深刻な事態に陥りました。
カリウスは誤射に憤ると同時に、この兵器の威力に感心したと述懐しています。

5、出所不明のエピソード
ゲームで描いたカリウスのエピソードは基本的に原著ないし公的なインタビュー記事にあるもののみを抽出しています。
ですが、ネット上にはまことしやかにカリウスに関連したエピソードや事実が多少湾曲されたものが流れています。
例えば、戦車砲で航空機を撃ち落したというのは有名ですが、実際には撃ち落したのはカリウス自身ではなく、同じ戦車の乗員である砲手クラーマー伍長です。
他にも、「ケルシャーが戦後奥さんと子供を置いて飲んだくれていたのを叱責し、軍へ戻れるよう口利きした」「戦後レオパルドIIの自動照準装置に実戦的でないと文句をつけ、カリウスが実際に試射をしたら一発で当ててしまった」というエピソードがありましたが、出所が不明であったため、面白そうでは合ったのですが残念ながら描きませんでした。
なお、ケルシャーはカリウスよりも年上(戦時中はカリウス20代前半、ケルシャー30歳近く)なので、部下ではありますが、ポーランド戦から参加していて実戦経験はより豊富な頼れるベテランかつ兄貴分のような存在であり、もちろん、カリウスの命令は聞かなければならないのですが、心情的には対等に近い存在であったようです。

6、カリウスは射撃と運転ができる。
戦車は基本的に共同作業であり、特にドイツ軍の戦車は役割が厳格に決まっています。
ですが、だからといって他の役割ができないかというとそんなことはありません。
カリウスは車長ではありますが、運転や射撃の訓練も受けており、状況によっては疲れた運転手に代わって運転したり、自ら砲を撃つこともありました。
特に戦闘中に乗員の誰かが負傷したり死亡すれば、その代わりに誰かが対応しなければいけないのですから複数の操作をこなせるのは必要なことでした。
ゲーム中では常に戦車長として描くしかなかったのですが、著書やインタビューではそういった色々な役割をこなすカリウスの姿を垣間見ることができます。
ですが、本を読む限りカリウスが恐らく最も得意だったのは周辺の入念な状況確認と偵察だったのではないかと思いますので、戦車長に相応しい能力が特に高かったのだと思います。







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テーマ:軍事・平和 - ジャンル:政治・経済

  1. 2013/12/21(土) 15:10:32|
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