The Wizard of Science

人類学のこと、歴史・考古学のこと、航空機のこと、特許のこと、海外の言語や書籍、などなど、たまには横道にそれたりする長文が多めなブログです。

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ラスコー展感想

前から楽しみにしていた上野国立科学博物館のラスコー展に行ってきたので、その感想を書いてみます。
ラスコーはフランスにある旧石器時代の洞窟で、当時この辺りに住んでいたクロマニヨン人達が描いた巨大で美しい動物等の壁画で有名になりました。
最も古い美術作品の1つと歴史的に貴重な存在であると同時にその数とクォリティは群を抜いていて、特に旧石器時代に興味がなくても純粋なアートとして楽しめます。
が、逆にその飛びぬけた良さが大量の観光客を呼び込み外部からの二酸化炭素等などが充満した結果、壁画が急激に劣化するという事態になってしまったので、現在は一部の研究者達や修復作業を行う人員以外は基本的に入ることはできなくなってしまっています。
その代わりとして精巧に作られたレプリカを洞窟の側に設置し、こちらを見ることができます。
今回のラスコー展も同様に最近の技術で作られた壁画の実物大レプリカを鑑賞することになります。
IMG_5323.jpg
「なんだ本物じゃないのか」と思う人もいるでしょうし、確かに本物が見れるに越したことはありませんが、実際問題、本職の研究者でも物によりますがレプリカないし本物から型取りしたキャストを使うことは珍しくないわけでして、更にそのレプリカないしキャストから更に複製した物を使うことも十分あり得ます。当然、本物に近いほど貴重品ですので、お値段が物凄いことになっていきます。大学等研究機関も予算には限度がありますので、第一キャスト(本物から直接型取りした物)を手に入れた際に研究室の先生方が飛び上がって喜んでいたりします。
ラスコー展は実物を極小単位で精密にスキャンしたうえで作成された物ですので、普通に考えてどえらい貴重品です。それが千円なんぼのお金を払うだけで見られるのですから、なんとも良い機会に恵まれたものだと感激しています。
IMG_5316.jpg
今回は壁画だけでなく、ラスコー洞窟内の構造を示した巨大な模式図なんかも置いてありました。
IMG_5314.jpg
ラスコー洞窟は結構大きくて地図で見る構造自体は割とシンプルですが、数百メートルの道のりと上下の段差がありますので、例えが悪いのですがRPGの序盤ダンジョンくらいの大きさはあります。それで壁面には多くの動物たちが描かれているのですから荘厳たる光景です。
IMG_5327.jpg
壁画を描いたとされるクロマニヨン人の頭骨。解説にある通りクロマニヨン自体はラスコーから20kmほど離れたところにあります。
特にラスコー洞窟の中でクロマニヨン人の遺体が見つかった、ということはありませんが、年代と周囲の関係から見て恐らく間違いはないだろうという感じです。
私も以前は割と勘違いしていたのですが、その時代名称である旧石器にしろ、人骨と一緒になっているのは割と稀で、大体近くでこのぐらい見つかっているから、その他の痕跡等を頼りに恐らくこの人達に近い人々が作ったんだろうと類推しているわけです。
その石器の展示もありましたが、こちらは撮影禁止だったので割愛。結構しっかりとアシューリアン(左右対処石器)から、ルヴァロア技法、それからブレード(石刃)生成法の解説がされていたのですが、簡単なビデオ解説があると分かり易かったかもしれません。私は以前この辺りは実際に石器を削る実演を見るまでさ~っぱりでしたので……。まぁ、こちらが展示の中心ではなく補助知識みたいなものなんですが、せっかく石器も綺麗に集めていたのと、全体にスペースに余裕がありそうだったのでつい期待してしまいますね。
そういえば、頭骨模型を並べて、ハイデルベルグ人>ネアンデルタール人>現生人類(クロマニヨン人)と辿ってきたという解説でしたが、ホモ・ハイデルベルゲンシス(ハイデルベルグ人)ってネアンデルタール人の直接先祖だったっけ?とか若干、気になることも。
一応、ネアンデルタール人とクロマニヨン人が共存していた話はあるのですが、近年ではネアンデルタール人の遺伝子が現生人類に残っていることが分かったりしているので、この辺り旧人の関係は割とカオスな感じになってきているのですが、日本的にはまだまだ順番になっているほうが分かり易いのかなぁ、とか思ったりしました。
IMG_5321.jpg
さすがに絵の解説はしっかりビデオが用意されていて、この馬の絵は後ろにたくさんの馬が描かれた後に上書する形で描かれたらしくて、それがビジュアル的に見れるのは嬉しかったですね。
ここまで来ると考古学というより美術研究って趣になってくるので、いろんな知識が必要だと感じます。
それから、大型のタブレットで美術様式の解説も見れます。ポイントを押すとこういう様式で……というのが出てくるのですが、なんとなくインターフェースと操作感に慣れなかったです(汗……。

ラスコーの後は日本国内の石器の展示もあって、時代と場所もだいぶ違うのですが、欧州と日本の石器を双方で比較できます。あまり国内のものはちゃんと見てなかったので、黒曜石のブレードなんかはその大きさと精巧さに驚きました。これだけ大きく鋭利なものを大量に生産できるなら、そりゃわざわざ海を越えてでも取りに行くな、と。

そんなこんなで私自身は思った以上に楽しめた展示だったのですが、客層としてはいつもの特設展示に比べると若干少なめな感じでしたかね。旧石器時代というとまだまだあまりとっつきがないのかもしれません。とはいえ、ちょっと絵に興味があるレベルでも十分に楽しめるように配慮してあるとは思いますし、来年の2月頭までやってるみたいなので、これを読んで気になった方は足を運んでみてはいかがでしょうか。





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テーマ:展示会、イベントの情報 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2016/11/29(火) 01:12:01|
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