The Wizard of Science

人類学のこと、歴史・考古学のこと、航空機のこと、特許のこと、海外の言語や書籍、などなど、たまには横道にそれたりする長文が多めなブログです。

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お金持ちなお猿さん

 久しぶりに硬めな人類学のお話、でもないかもしれない。

 マルクス経済学、というと名前だけで古いだのと申す人は結構います。
 ところが、そんな人でも不思議とマルクスの述べた貨幣の誕生するまでの過程は意外とすんなり受け入れていたりします。

 これはどういうことか簡単に書きますと、

 1、もともと、人は物々交換をしていた。
 2、物々交換では常に相手の持ってくるものが必要なわけではないので、どこでも使えて皆が認める価値あるものが必要になった。
 3、そこで貴重な金や銀、宝石といった鉱物。米や麦といった主要農産物。これらが全てのものの価値を決める物差しになった。
 4、さらに流通性を高めるために、硬貨に換えられ、持ち運びが便利な紙幣が登場した。

 これがいわゆるマルクス経済学で述べられている貨幣誕生の過程です。
 現代ではさらに次の段階でカードや電子マネーが追加されるのでしょう。


 ところが、経済人類学を日本で紹介した栗本氏によりますと、これはあくまで分かりやすくするために事実とは違うことを言っている・・・とのことで、これへの反証に関しては氏の本を読んでいただくとして、今回は私なりにこの貨幣の進化論とやらに軽くメスを入れてみたいと思います。

 そのメスとなるのは以下の記事です。
 
 http://www.cnn.co.jp/science/CNN200911040030.html
 サルの毛づくろいは交尾の対価、研究者が「市場原理」観察  
>「動物たちは言葉で交渉したり契約を結んだりはしないが、それでも強制力によらない商品やサービスの交換が行われ、対価について一定の合意を成立させているようだ」と論じている。


 ちなみに某所のコメントでは動物の世界でさえ「市場原理」でしか見ることができないのはおかしいといったものがありましたが、英語におけるMarketは日本語の「市場」よりも幾分か広く使える単語なのでこの辺りはちょっと翻訳の問題もあるようです。
 (引用元のURLでも「ウォール街」なんて書いてちょっとばかり間違ったほうに誘導してるし・・・)

 恐らくは日英お互い感覚的に近い表現だと、「交換する約束」ぐらいではないかと私は思います。
 そして、「交換する約束」と表現することで単純な一方通行的進化観を変える手助けになります。


 マルクスの経済学では元々が物々交換で始まっている、とするように、いわゆる物品が始まりにあります。
 その物品の交換から現実に存在しないもの、つまりは貨幣はそれ自体の価値ではなく信用を持って取引する方向へ変わってきたとするものです。
 現代では更にカードや電子マネーと存在は目に見えないものと化しています。


 ですが、実のところ、いつでもどこでもサービスや物と「交換する約束」は猿の時点で、それが物品として目の前になくても、十分に認識として備わっているものだったりするのです。

 物々交換、鉱物、主要農産物、貨幣/紙幣、カード/電子マネーというのは、その時代におけるシステム上使われる道具に過ぎず、その道具は本質の部分では結局猿の「毛づくろい」と比較しても何も勝らなければ、劣ることもないのです。

 これらはそれぞれ相手との「交換する約束」が成り立たねば、結局は何の価値も生まないという部分も共通です。

 流通に貢献する割合が違う、というのがいわゆる反論になるかと思いますが、これも世界恐慌で山と詰まれた紙幣や、会社が倒産することでただのおもちゃに変質したカードという現実を見れば、一概に貨幣やカードが流通させるのに優れているとは言いがたかったりします。

 極端な話、世界戦争でもおきて国家と社会が崩壊したら信用できるのは身を寄せ合える相手だけなわけですからね。
 もちろん、人間はそこまで愚かではないので微妙なバランスのところで信用を保ち続けるのだとは私自身は信じたいのですが。
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  1. 2009/11/06(金) 01:00:07|
  2. ちょっと硬めな勉強のお話
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