The Wizard of Science

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Woman as Hunter3 "家事の価値"

 この「Woman as Hunter」も3回目。

 これまではかなり広い範囲での話をしてきましたが、今回はイメージがしやすいよう身近で具体的な事に焦点を絞って書いていきたいと思います。



 さて、一昔前の女性の役割といえばこれは疑いようもなく「家事」でした。
 今回はこの身近な「家事」の考え方をちょっと違った視点を持ってみようと思います。

 女性の社会進出が叫ばれた時、大抵の言い分は
「女性は家庭での家事や子育てを押しつけられて、自由に働くことを選択できない」
 と、いうことでした。

 これは男女平等・労働者の権利という観点からは当たっているのかもしれませんが、実は今の社会常識を通してみると的を外している。
 既に感じている人も多いのでしょうが、共働き率が年々上昇する現代で生活する大多数の人からすれば「働かずに家事だけやって生活できるなんてなんてとんでもない幸せ」なのです。

 ここで、「過去の人は自堕落だった」とするのは簡単なのですが、それはちょっとばかり早とちりです。
 現代からの視点だけではなく、「押しつけられて」と感じていた時代の前の状況も考慮に入れなくてはいけません。

 昔の家事は本当に厳しかった。今ほど家事を助ける機械も無ければ、町に食料や生活を助ける店舗も多くなかった。お金持ちは女中さんを雇うことができたかもしれませんが、大抵は家の事を全て女性が行って終わる頃にはとっぷりと日が暮れていたのです。んで、その頃には旦那が帰ってきてお世話をして一日が終わる。


 これはとどのつまり、「苦労しなければならない家事」であるからこそ「お金を取ってくる仕事」と同等かそれ以上の価値があるとみなされていたという事です。
 実際、「生活をする」だけでも涙ぐましい努力を行わなければいけなかったわけです。
 それが今では色々と便利になってしまったので、家事をすることの価値が落ちているわけです。

 そんなこといって当時の男性は女性は仕事ができないといって見下していたではないか、という反論もあろうかとは思いますが、それは「仕事ができない」と言って見下して、全ての生活必需要素を揃える家事の苦労との価値の釣り合いを取ろうとするからです。
 言い換えると男の儚き自尊心の補填に過ぎないわけですよ。
 ですから、本当に家事に価値があった時代には女性はわざわざ表立って「労働の権利」を言うことも無かった。
 当時の男性が押さえつけていたのもあるかもしれませんが、まずそれを言う必要性自体が無かった。


 「労働の権利」を主張し始めたのは、ようは家庭内に生活用具、町には生活を助ける店が現れ始めて、少しづつ家事の価値が落ちていったからです。
 今から見れば厳しい労働ではあるが確実で安定した労働でした。ですが、その厳しさが和らいだために新たな苦労を必要とされました。
 つまり、家事が楽になった分、その時間を別のなにかに当てないと、遊んでいると看做されてしまうのです。
 そうでなくても、空いた時間で働き始めた女性の家は豊かになるわけで、働かない女性の家は元が裕福で男性の収入が高くないのであれば、どんどん差がついていってしまいます。
 働いている女性は魅力的に映り、社会の理想として取り上げられ始めます。


 こうして、新たな競争の時代が始まりました。
 道具と町の発展で我々は新しい狩猟採集のような時代へと突入したのです。

 道具が発達し、町にサービスが溢れているから豊かとも限りません。
 競争が進み、貧富の差が現れると、それを享受できない人も増えてくるのです。



 この「家事の価値」という半ばジョークに聞こえる命題はあくまで現代が狩猟採集時代のごとく変質した要因の一つに過ぎません。
 ですが、一番身近で分かりやすく、そして今の生活がどのように厳しいのかということを考える上で基準にしやすいのです。


 さて、こういった現代社会の変転を軽く通してみてきましたが、そもそもの安定しない大昔の狩猟採集社会はどうやって始まったのでしょうか?
 次回があれば、一度過去に目を戻してみて話を進めていきたいと思います。







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  1. 2010/06/27(日) 12:27:47|
  2. 「Woman as Hunter」
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