The Wizard of Science

人類学のこと、歴史・考古学のこと、航空機のこと、特許のこと、海外の言語や書籍、などなど、たまには横道にそれたりする長文が多めなブログです。

イタリア空軍戦闘機

 今年はイタリアのローマに行ってきました。
 遺跡の写真は撮りまくったのですが、なんていうか遺跡はどこにもかしこにもゴロゴロしてて、しかも規模がはんぱないのでとてもじゃないけど一回のブログでまとめられません…。

 そんなわけで、久しぶりに航空機のネタでローマ市外のブラッチャーノ湖の畔にある、イタリア空軍博物館(Museo storico dell'Aeronautica Militare di Vigna di Valle)に行って来ましたのでここの写真からまずスタンダードな二次大戦のイタリア戦闘機の写真を何枚か公開することにしました。


falco.jpg
 「フィアット CR.42 ファルコ」

 頑丈な作りと良好な運動性能で旧来の設計ながら二次大戦中にも多く使われた名機。
 なぜか原型一号機は降着装置の前方は固定脚だが、尾輪は引っ込む。後に普通に固定式になったらしい。

 「頑丈」というのは聞いていたが、実際に近くで見て、そのしっかりした構造にびっくりする。
 なんというか、既に機体構造だけでも十分頑丈に見えるのに、更に色んな箇所に支柱をつけて補強してある…そんな印象です。(複葉機だから翼の間の支柱は必須ではあるけれど)
 旧式の戦闘機でエンジンも小柄なはずであるが、そのガチガチ構造で周りが固めてあるので、見慣れた零戦よりもずっと威圧感があります。

 ちなみにこの写真では確認できないが、ちゃんとパイロット席の後ろはイタリア機の特徴である絞ったフィストバックになってました。


Mc200.jpg
 「マッキ M.C.200 サエッタ」

 イタリア空軍最初の単葉戦闘機。
 当初は完全に密閉した水滴型の風防という先進的なものを装備していながら、パイロットの「視界確保したい」という要望を受けて後期型は後部が開放式になるという時代に逆行した変転を辿った不思議な機体。
 翼の設計が原因で事故が起こり、回収していたため実戦配備が遅れるが、連合軍の機体とはその良好な運動性で長く渡り合う。
 また、これに限った話ではないのですが、イタリア機はエンジンの拡大に伴って大きくなるトルクの影響を打ち消すためその翼の長さが左右非対称との事。
 
 視界確保のために開放式となった風防の妙な感じも目立ちますが、さらにその視界確保のために少し高めに操縦席が備え付けられているため縦に大きく、近くに立つとなかなかこれまた威圧感があります。
 エンジン周りや降着装置も非常に頑丈に作られていて、「あぁ、イタリア人ってかなり保守傾向だったのだな」というのが感じられます。


Mc202.jpg
 「マッキ MC202 フォルゴーレ」

 ドイツのBf109や日本の飛燕と同じDB601エンジンを供給されて設計された新型戦闘機であり大戦中のイタリア空軍の主力と呼べる機体。
 Bf109に対する飛燕でもそうですが、同じエンジンでも設計者が違うとここまで違う戦闘機を作るのだなと感心。

 Bf109や飛燕に比べるとMc202は機体後部がかなり絞って短くなっているので、全体を見回すとぐっと小柄な印象を受けます。
 これまで見てきた戦闘機に比べるとかなりシャープになっていますが、降着装置や翼、操縦席周りの特徴は相変わらずイタリアらしさを醸し出しています。

 性能はともかく降着装置が脆弱で離着陸の危険なBf109、エンジンのライセンス生産や現場の整備に戸惑った飛燕に比べると、持ち前の安定した設計とエンジンが自国でも安定して生産整備できたことでマイナス面は少なかった模様。あえて三機の中から選ぶとしたらこれか。

 ただ、登場してすぐに連合軍側に強力な新型戦闘機が現れたこともあってなかなかに苦戦を強いられ、せっかく良い設計でありながらそれを発揮する機会がなかったのは残念。


 Mc205.jpg
 「マッキ MC205 ヴェルトロ」

 イタリア空軍最高の戦闘機の一つと言われる機体であるが、生産時期が遅く大した戦闘をしないままにイタリアは降伏してしまう…。
 DB605にエンジンを換装したことで機体も設計しなおされている。
 イタリア軍内では大幅な変更を施したN案と最小限の変更にとどめたV案があり、結果、保守的なV案が通って設計されたのがこの機体であるが、実際に実物をMC202と比べるとそれでもかなり変わった印象がある。

 まず、スピナーとカウリングが少し丸みを帯びた形状となり、機種下にあるオイルクーラーも形状が変更されている。
 随分と"詰まった"印象があったMC202の機体後部はMC205では大分延長されて尾翼の形状も少し異なっている。尾輪もとうとう引き込み式になったらしい。
 また、イタリア機の弱点でもあった火力の低さ(大体が7.7mmx2+12.7mmx2)もこの機体(後期型)では20mmが装備されて、その機銃がつんと翼から突き出している。

 だが、操縦席周りの形状と保守的な降着装置は相変わらずイタリアで、これは設計云々を超えた彼らのプライドのようなものが感じられる。


G55.jpg
 「フィアット G.55 チェンタウロ」

 もう一つのDB605を装備したイタリア空軍最高の戦闘機と呼ばれる戦闘機。
 こちらも生産時期が遅く、生産された機体は本国イタリア降伏後に北イタリアに供給された。

 同じエンジンを使っているMC205に比べると機体が長く、スピナーからエンジンカウルが一線上に通っていて、ラジエーター・オイルクーラーが中央に並んで配置されているため、全体にすっきりしてシャープな印象を受ける。
 翼はわずかに逆ガル気味でこれは降着装置の負担軽減か、プロペラを地面から離すためか、はたまた空力的に有利なのかいまいち分からないが、これまでのイタリア機、また他の戦闘機と比べてもなかなか珍しい形をしている。

 しかし、別会社でここまで時代を通しながらも操縦席後部は相変わらずの絞りが入ったフィストバック。
 イタリア人の何か譲れない美意識ゆえなのだろうか。



 これ以外にも黎明期の航空機から一次大戦、現代のものもあり、またわずかですが他国の戦闘機(スピットファイア・P51等)も展示されていました。
 特に紅の豚の後半辺で登場する双胴の水上飛行艇が並んでいる模型と、実際の機体の部品が展示されているのはなかなかに圧巻でしたが、これはガラス張りのケースの中にあって上手く綺麗な写真が撮れずに断念…。

 写真は整理して公開できる機会があればまた掲載したいと思いますが、それよりもここは本当に規模が大きいのでまた尋ねる機会があれば尋ねてちゃんと写真を撮りたいところです。




 〆


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  1. 2010/07/25(日) 01:30:51|
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