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The Wizard of Science

人類学のこと、歴史・考古学のこと、航空機のこと、特許のこと、海外の言語や書籍、などなど、たまには横道にそれたりする長文が多めなブログです。

Woman as Hunter4 "技術進歩と男女差の低下"

 思いのほか続いているこのWoman as Hunterは別カテゴリを新設して書いていくことにしました。
 他のカテゴリもそのうち少しづつ整理していければと思う次第。

 さて、前回の予告どおり、今回は目を過去に移してみたいと思います。
 前回は現代においては技術の発達により家事が楽になり、それが女性の社会進出を促した一因であると書きました。
 では、過去の、それも人間が狩を始める前後にも同様のことが起きたのでしょうか?
 答えはYesです。今回はそんなお話。


 さて、まずは簡単な質問ですが、狩猟採集の考古学的証拠として代表的なものはなんでしょうか?
 大昔のことですからまず比較的年月を経ても残りやすいもの、学術的にはある程度比較でき、数が揃いやすいものがやはり代表的な証拠になります。


 早々と解答を出してしまいますが、それは「石器」です。
 つまり、石を砕いて尖らせた道具。
 木でできたもの、動物の皮は非常に残り難い。骨は比較的残りやすいのでが、石よりもずっと年月や外的要因によって変形しやすく、完全な形で残るのは難しい。


 多くの本で石器を基本に人類の先史時代は語られ続けてきたのはこういう事情があります。
 なにも彼らがまったく木や動物の皮を使わなかったわけでもなく、「石器時代」なんて言っても、実態として全体の比率で言えば石器の使用は低かったかもしれませんが、とにかく残っててくれるので研究がやりやすいのです。

 さて、この石器ですが、やはり木の棒の先につけて狩に出るというスタンダードなハンター像が思い浮かびます。
 まぁ、そういう使い方もしていたようですが、石器ってなにも槍の先になるような小さなものばかりではなくて、様々なサイズ・形があり、その全てが武器として使われていたわけではなさそうです。

 では、何のためかといえばもう一つ考えられるのが調理のためです。

 実は石器はアフリカに生息する野生のチンパンジーも使用することがあり、彼らはこれで木の実を砕いたり、すりつぶしたりして食べやすくする調理方法を持っています。
 武器として使う以前に石器の使用目的は調理のためであった可能性は非常に高いのです。


 この石器の使用に長けていたのが我々のご先祖様だと考えられています。
 実際には石器を使用していたと考えられる人類の祖先は何種類もいてその全てが我々の直接的な先祖であるわけではないのですが、とにかく人類の祖先は石器の使用に長け、他の動物と違って調理の方法に高い技術を持ち込んでいたことは確実と考えていいでしょう。


 さて、次に考えることは男女の分業です。この時代では雄雌と呼ぶほうが近いかもしれませんが、一応話の流れ上、男女で通します。
 実は初期の猿人に見られる特徴として男女の体格差が非常に大きいということがあります。
 アウストラロピセカス・アファレンシスは推定身長は男女で151/105cm、体重は45/29kgとかなりの開きがあります。
 もしかすると複数の種類が混在して生活していたのかもしれませんが、高い知能を持つ類人猿では人間よりも男女で大きな体格の差があり、これと化石記録を合わせると、初期の人類も同じぐらいの体格差があったと思われ、それは進化の過程で少しづつ小さくなっていったようです。

 なぜなのか?直接的な理由はわかりませんが、これだけ差があると同じ仕事をしていたとは考えにくく、必然的に生活の中で分業が行われていたはずです。



 さて、この男女の差が縮まっていったことと石器の進歩は実は同時に進行していきます。
 石器が高度になり、より複雑な形状、より鋭利な先端、さらに調理用と武器とそれぞれで進歩する傍らで、人類の男女差は小さくなり、その生活環境及び男女の分業の可能性はどんどん小さくなっていっているわけです。


 これをどう考えるのか?
 私はまず、我々の先祖は石器を手にする以前の段階では自然界の中である程度安定した生活を営んでいたと考えています。
 当時の人類が住んでいたアフリカにはうっそうとした森に覆われて、そこで実る食物を得、たまに小動物を獲って過ごすことができた環境があったのだと思います。
 そこで暮らす人類の先祖は今のゴリラやチンパンジーのように比較的大きな男女の体格差がある生き物だったはずです。

 しかし、石器の発達は人類を別の方向へと進めます。
 石器によって発達していく社会では類人猿のような体格差は必要なく、少しづつ男女の差は縮まっていきました。
 そして、原始の狩猟時代における男女の分業はそれまでよりもずっと小さくなり、お互いが類似の仕事をもって生きていく時代へと変わったのだと思います。

 こうして始まった辛い狩猟採集時代ですが、人類が農耕を始め、自分たちの周辺に常に食物を提供し続ける豊かな自然を作り出せるようになって終わりを告げることになります。



 〆


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  1. 2010/07/31(土) 13:30:08|
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