The Wizard of Science

人類学のこと、歴史・考古学のこと、航空機のこと、特許のこと、海外の言語や書籍、などなど、たまには横道にそれたりする長文が多めなブログです。

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新年のあいさつと軍縮と対金剛級戦艦に関するアメリカ戦艦建造計画のお話

かなり遅くもはや1月も終わろうとしていますが、明けましておめでとうございます。
本年も各方面にて元気に活動していきたいと思っていますので、よろしくおねがいいたします。
このブログに関しても毎年書いてますが、方向性を見失いつつも1月1回更新を維持してがんばっていきたいと思います。
適当な時にお付き合いいただきませ。

今年は去年で色々あった結果ものすごく久しぶり(6~7年ぶり?)に集中してRPGなんぞを作ることになり、またひっそりとゲーム制作支援用にEntyをはじめました。
https://enty.jp/saizwong
実際、製作用の資金はあらかじめ用意していたので(元々VWのリメイクは機を見て行うつもりでいました)、ここで支援がなくても進行そのものには支障はないのですが、ちょっとでもあるとやる気も違えばもっとクォリティをあげる可能性もあがるので、よろしくお願いいたします。


さて、今年一発目の話題はちょっとした戦艦のお話です。
別に新説というわけでもなく、普通に一般書籍を何冊かかじっただけの浅いものなうえに「まぁそうだろうね」という結論で終わってしまうものなんですが、あの戦争が始まる前にな~にを各国やっていたのかという一端を垣間見れて面白かったので、紹介したいと思います。なるべく一般向けに書こうと思うので、知ってる人には用語なり表現がもどかしい所もあるかと思いますが、ご容赦を。

第二次世界大戦が勃発する前の1930年代。既に色々ときな臭い状況にはあり、この時点でお互いの不信感は頂点に達してはいたのですが、それでも外交交渉は根強く続いていました。
なんとか戦争を避けるためにそもそもそれを行う武器を減らそうという軍縮会議も継続しています。ようするに、いきなり自分から武器を捨てることは難しいので、国同士で話し合ってある程度の割合を一緒に減らしていこうというものです。
海に囲まれた日本として重要なのは大量の大砲を搭載する巨大な鉄の船「戦艦」なわけですが、これも当然軍縮の対象として挙がっています。
既に軍国主義の国ではあったものの、日本はこの戦艦に関しては軍縮会議の開始後、新規造船は行わない方針となっていました(研究や計画は将来の危機に備えて続きますが)。
これは色々と理由があるものの、一番大きいのはやはり戦艦の建造にしろ保有にしろとんでもないお金と燃料がかかるので、資源に乏しい日本としてはアメリカやイギリスといったお金持ち国に追従して戦艦を作り保有し続けるには限界があるというのが目に見えていたということがあります。今と違って経済力もそこまで高くなければ恐慌後のごたごたで景気が良くないということも忘れてはいけないですね。
そのため、軍備を持つにしても、どちらかというと小型の船や航空機を重視することになる……のですが、当時のアメリカにしてもイギリスにしても経済問題を抱えているのは変わらないので、軍事予算を減らす目的から戦艦を減らすか作るにしてもそれほど大きくないものにし、小型艦と航空機で補おうという方向は割と似たようなものです。

この軍縮は1921年のワシントン軍縮会議で船の排水量(トン数)や大砲の大きさに制限が加わり、その後の1930年にロンドン軍縮会議にて各条件がより厳しくなって枠から外れた船は廃艦となり、そして1935年の第二次ロンドン海軍軍縮会議へと進んでいきます。
この第二次ロンドン軍縮会議なのですが、日本としてはアメリカとイギリスに対して同等の軍備を持つこと(これまでの会議では概ね対英米7割)、そのためには全ての戦艦だけでなく、航空機を大量に運用できる新鋭の兵器として期待されていた航空母艦を全廃するというのも視野に入れていたという話も伝わっていますが、どこまで本気だったかはなんともわかりません。私としては歴史の結果から見てみればそれもよかったんじゃないかと思うのですが、国内の軍人にはかなりこの軍縮事態に反発する人も多かったらしいので難しかったのではないかとも想像します。
ともかく、日本としては軍備を縮小しつつ最大限英米との対等を実現することに固執しますが、これには英米はかなり眉を顰めます。基本的に日本は自国より少ない、これまで通りの7割程度を維持することを本会議前の予備交渉時点で要求しています。
どうにかこれまで続いてきた軍縮交渉もこの日本の固執から破たんする可能性が見えてきてしまいました。

この時、アメリカでは新型の戦艦ノースカロライナ級の建造計画が進んでいたのですが、この軍縮条約の結果が直接影響するため非常に迷います。この戦艦の建造の方針は大きく2つ。1つは既に日本は戦艦を新規で建造することはないものの、どうも今持っている古い戦艦達、特に高速を持つ金剛級戦艦、が強化改装が行われていることがわかったため、これに対抗すること(アメリカの戦艦はこれまで防御力を重視して20ノット前半しか出せない鈍足しかいませんでした)。もう一つは新たに登場した飛行機を運用する船、航空母艦に追随してこれを攻撃しようとする敵の船を撃退すること、でした。そのため、ノースカロライナ級には30ノットという巨大な戦艦としては高速が求められることになります。
さらに第二次ロンドン軍縮会議において、戦艦は主砲口径36cm砲までしか持てないことが概ね決まっていました。これまでの戦艦で最大の主砲口径は41cmでしたので、それよりも縮小することになったわけです。そのため、ノースカロライナ級も36cm砲装備として計画が進みます。41cm砲よりも36cm砲は小さく軽いので、1発当たりの威力は低く、それなら砲門数を増やそうと4連装砲塔にする計画も存在しました。実際、この条約が締結されるだろうと見込んで建造していたイギリスのキングジョージ5世級戦艦はこの36cm砲4連装砲塔を装備した戦艦として完成しており、若干遅れて進んでいた戦艦ノースカロライナの計画も同じような装備の戦艦として完成する…はずだったのですが、このわずかな遅れの時間の間に日本の固執から交渉が破綻する可能性が濃厚に見えてきたのです。

もし、日本との交渉が破綻したらどうなるのか?この場合、アメリカとイギリスの間でのみ軍縮条約が結ばれることになります。日本に配慮しなくていい分、英米は若干緩い条件で条約を結ぶことも考えていました。これは「エスカレーター条項」と呼ばれています。もし、エスカレーター条項が発動した場合、それまで36cm砲しか装備できない予定だった戦艦は41cm砲も装備できるようになり、船の大きさももっと大きくすることができます。

そんな紆余曲折の中、既に戦艦ノースカロライナの船体は船台の上で概ね組みあがっている状態でした。確かに計画の中に41cm砲を装備させた方がいいんじゃないか、という案はあったのですが、交渉は最後には締結できるだろうと予想している人も多く、36cm砲搭載案は根強く残っています。こんな状態から最終的に41cm砲搭載に推し進めたのは他でもないルーズベルト大統領の決断が大きかったと言われます。あまり他の国の首脳に比べて兵器開発に口出ししないようなイメージでしたが、やるときにはやるのかもしれません。この決定が出た時にはまだ正式に日本は脱退表明をしていなかったということで、歴史にifはありませんが、もし日本がすんでのところで第二次ロンドン軍縮会議に合意した場合、アメリカの新型戦艦が最悪廃艦になり、ルーズベルトにもいろいろと責任問題が発生していたことが考えられます。締結のデメリットは相変わらずの対英米7割維持と、数隻の戦艦の廃艦(戦艦大和も恐らく作るのは相当困難になります)、それ以外の艦艇の数と大きさの制限あたりですが、割と安いと思うのは私だけでしょうか……?
USS_North_Carolina_(BB-55)_underway_in_the_Gilbert_islands,_November_1943

さて、こうして半ば強引気味に41cm砲装備戦艦となったノースカロライナなのですが、短期間での変更は当然のように他へしわ寄せが来ます。36cm砲装備の予定だったところにより大きな砲を積むわけですから、当然重量が増します。その結果、速度は30ノットから28ノットで妥協。概ねできていた船体に装甲もそれほど施せず弱防御。仕方ないとはいえイマイチバランスの悪い戦艦として完成し、これには計画に携わっていた関係者が「当初の目的が捻じ曲げられて何がしたいのか良く分からない船になった……」とぼやいたという話が伝わります。
この経緯のため、日本も完全に脱退し、軍縮の縛りがなくなって戦争が始まることが濃厚になった時、アメリカはノースカロライナ級の改良型として同等の火力、同等の速力を持ちつつ防御力を改良したサウスダコタ級を計画。そして、金剛級をはじめとする自国より高速の日本の戦艦を圧倒でき、かつ空母の随伴も可能な本来の目的を達成し得る戦艦アイオワ級へと繋がっていくことになるのです。
一方、このようなアメリカ戦艦建造計画の流れの側で、広く知られているように日本は27-28ノットの速力を持ち、巨大な砲と重防御を誇る巨大戦艦大和の計画が進むことになるわけです。

第二次世界大戦の前には日本をはじめとする各国の果てしない軍事力増強があったというイメージがありますが、実際はどちらかというとどのように減らすのかという紆余曲折の交渉のもつれが響いています。
その結果、本当に欲しかったものではないものを持たざるを得なくなったりというのはあの巨大なアメリカであっても変わらないわけです。
若干端折り気味に書いてしまったので、もし詳しく正確に知りたい方は書籍を購入してみることをお勧めいたします。といっても大体は洋書になってしまいますが…。






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テーマ:歴史 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 2017/01/28(土) 13:01:48|
  2. 軍事
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
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